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GLOSSARY

MQL の基準をどう決めるか

営業に渡してよいと判断する線。他社の基準を借りるものではなく、自社の商談化率から逆算して決めます。

基準は借りてこない。商談化率から逆算する

「役職が部長以上」「資料ダウンロード3回」といった基準は、どこかの記事から借りてこられます。しかしその線は、その会社の商談化率に合わせて引かれたものです。自社に持ち込んでも、営業に渡る件数が多すぎるか少なすぎるかのどちらかになります。

決め方は逆算です。欲しい受注数から遡って、必要な MQL 数を出し、それが現実的かを見ます。

  1. 期間内に必要な受注数を置く
  2. 商談 → 受注の率で割り、必要な商談数を出す
  3. MQL → 商談の率で割り、必要な MQL 数を出す
  4. いまのリード数に対して、その数が何割かを見る

説明のための例として、年間24件の受注が要る場合を置きます。

段階率必要数
受注—24件 / 年
商談商談 → 受注 25%96件 / 年
MQLMQL → 商談 20%480件 / 年(月40件)

月間のリードが200件なら、上位20%を MQL とする線が出発点になります。この20%という数字が先にあるのではなく、逆算の結果として出てきたものである、という順番が重要です。

出てきた割合が極端なときは、線ではなく別の場所に問題があります。上位5%まで絞らないと数が合わないなら、リードの母数か商談化率のどちらかが足りていません。逆に上位60%が該当してしまうなら、その基準は「営業に渡してよい」を選別できていません。

スコアリングより先に、属性で切れるかを確かめる

MQL というと行動スコアリング(メール開封、ページ閲覧、資料ダウンロードに点数を振る)を思い浮かべますが、先に確かめるべきは属性で切れるかどうかです。

業種・従業員規模・役職・自社が受けられる案件か。この4つで切るだけで、営業が受け取れる状態になることは珍しくありません。属性は本人が申告した情報なので、行動データより安定します。

行動スコアが効くのは、母数が十分にあって、点数と商談化率の相関を後から検証できる場合です。

補足

月間のリードが数十件のうちは、行動スコアリングを作らないでください。点数の根拠を検証できる母数がないため、「なぜ50点なのか」を誰も説明できない基準ができあがります。作り直すより、最初から属性で切るほうが早く済みます。

業種によって、線を引く場所が変わる

同じ「営業に渡してよい」でも、検討の長さと単価によって、何を見るべきかが変わります。

検討期間線の引き方
BtoB SaaS中程度トライアルや管理画面の利用があるため行動データが濃い。スコアリングが機能しやすい
人材短い。タイミングが支配的属性より「いま募集があるか」。鮮度が落ちると同じ属性でも商談にならない
不動産・高単価商材長い資料請求は関心の初期段階。属性で強く絞り、育成期間を前提に置く

人材のようにタイミングが効く領域では、MQL に有効期限を設ける判断もあります。3週間触れられなかったものは、条件を満たしていても一度戻す、という運用です。

基準を決めたあとに、必ず起きること

営業から「渡ってくるリードの質が低い」という声が出ます。これはほぼ確実に起きます。基準の失敗というより、受け渡しの定義が MQL の1点しかないことによるものです。

対処は2つあります。

  • 差し戻しの経路を作る。 営業が受け取らなかった理由を記録し、基準に反映する。理由が残らないと基準を直せません
  • SAL を置く。 営業が「受け取った」と明示する段階を挟み、MQL と SQL の間で何を確認するかを決めておく

どちらも、MQL の定義そのものより「渡したあとに何が起きるか」を決める作業です。基準を精緻にするより先に、こちらを用意したほうが効きます。

見直す頻度

四半期に一度を目安に、商談化率を再計算して線を引き直します。ただし母数が少ないと率は大きく揺れるため、単月ではなく3ヶ月の移動平均で見ます。

商談化率が想定から大きく動いたときは、四半期を待たずに見直します。線を固定したまま率だけが変わると、営業に渡る件数が静かにずれていきます。

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